消費税の納付税額 = 課税期間中の課税売上に係る消費税額 − 課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額 消費税とは物の販売、貸付、サービスの提供に対して課税される税金です。 次の要件に該当する取引が原則として課税の対象となります。 1 国内取引であること。 2 事業者が事業として行う取引であること。 3 対価を得て行うものであること。 4 資産の譲渡、資産の貸付、サービスの提供であること。 ● 課税取引と非課税取引 全ての取引(譲渡、貸付、サービスの提供等)は消費税の課税において課税 対象取引と課税対象外取引に分かれ、さらに、課税対象取引は課税取引と非 課税取引に分かれます。 ● 納税義務と免除 消費税には免税点が設けられており、その課税期間に係る基準期間(個人事 業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年 度の前々事業年度)における課税 売上高が1,000万円以下の場合には、その課税期間の納税義務が免除されま す。新たに事業を始めた場合には、その時点では基準期間の売上げはないた め、原則として、免税事業者になります。 ● 課税売上割合 課税売上高(免税売上を含む)/ (課税売上高(免税売上を含む) +非課税売上高) ● 原則課税と簡易課税 [原則課税] 課税売上に係る消費税額から控除する課税仕入れ等に係る消費税額の計算方 法は、その課税期間中の課税売上割合が95%以上であるか、95%未満で あるかにより異なります。 @課税売上割合が95%以上の場合 課税期間中の課税売上に係る消費税額より、その期間中の課税仕入れ等に係 る消費税額の全額を控除出来ます。但し、その課税期間の課税売上高が5億 円を超える場合には、課税売 上に対応する課税仕入れの税額のみが控除の 対象となります。 A課税売上割合が95%未満の場合 課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除するのでなく、課税売上に対応す る部分のみを控除します。計算方式には個別対応方式と一括比例配分方式が あり、どちらかの方式を選択することになります。 イ 課税売上のみに対応する課税仕入れ等の消費税額 ロ 非課税売上のみに対応する課税仕入れ等の消費税額 ハ 課税売上と非課税売上に共通して対応する課税仕入れ等の消費税額 〇個別対応方式 仕入控除額=イ+(ハ×課税売上割合) 〇一括比例配分方式 仕入控除額=(イ+ロ+ハ)×課税売上割合 [簡易課税] その課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下で、 簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、課 税仕入れに係る税額を税額を計算する事なく、課税売上高から仕入れ控除額 の計算を行う事が出来ます。この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対す る税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率と いい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等及びその他の事業 の5つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。
事業区分 | みなし 仕入れ率 | 該当する事業 |
第1種事業 | 90 % | 卸売業 |
第2種事業 | 80 % | 小売業 |
第3種事業 | 70 % | 建設業、製造業他 |
第4種事業 | 60 % | 第1種から第3種及び 第5種以外の事業 |
第5種事業 | 50 % | 不動産業、サービス業他 |
仕入控除税額 = 課税売上額に対する消費税額(A) − 課税仕入れ高に係る消費税額(B) (A) = 課税売上額(税抜き)×5 % (B) = (A) ×みなし仕入れ率 (1)1業種75%の特例 [特例1] 2種類以上の事業を営む事業者でその課税期間における課税売上の割合 に占める1種類の事業に係る課税売上の割合が75%以上である場合に は、その特定の1種類の事業にかかるみなし仕入れ率により課税売上全 体の仕入れ控除額を計算することが出来ます。つまり、第1種事業の課 税売上が全体の75%以上であれば、その他の事業についても全て第1 種事業とみなす事が出来ます。 (2)2業種75%の特例 [特例2] 3種類以上の事業を営む事業者でその課税期間における課税売上の割合 に占める2種類の事業に係る課税売上の割合が75%以上である場合に は、その2種類のうちにおける低い方のみなし仕入れ率により、その2 種類の事業以外の事業に対するみなし仕入れ率とします。